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双極性障害 I型とII型の違い ― 躁病と軽躁病、躁うつ病のセルフチェックでわかること
双極性障害(躁うつ病)のI型は躁病エピソードが1回以上あった場合、II型は軽躁病エピソードと抑うつエピソードがあった場合をいいます。両者を分ける基準(期間・日常生活の機能・入院・精神病症状)、II型がうつ病と間違われやすい理由、セルフチェックでわかることとわからないこと、受診前の準備をまとめました。
Soundary · 6 分で読める · 最終更新
双極性障害はかつて躁うつ病と呼ばれていた病気で、気分が落ち込む時期と、ふだんの自分とははっきり違う高揚した時期が交互に現れます。I型とII型を分けるのは「高揚した時期がどれほど強かったか」です。同じ種類の症状でも、その強さや長さ、日常生活への影響によって、躁病(I型)と軽躁病(II型)に分けられます。
躁病と軽躁病 ― 同じ症状、違う強さ
どちらも、気分が異常に高揚するか易怒的(イライラしやすい状態)になり、活力や活動量がはっきり増えた時期があることが条件です。さらにその時期に、以下の症状のうち3つ以上(気分が易怒的なだけだった場合は4つ以上)が同時にみられます。
- 自尊心が膨らむ、または何でもできるような気がする
- 睡眠が大きく減っても疲れを感じない(例:3時間眠っただけでもすっきりしている)
- いつもより口数が多くなり、話すのを止めにくい
- 考えが次々と浮かび、すばやく移っていく
- 注意がすぐにそれてしまう
- 仕事や約束、計画を一度にいくつも抱え込む、またはじっとしていられない
- 浪費、衝動的な投資、危険な行動など、後で大きな痛手になることにのめり込む
| 項目 | 躁病(I型) | 軽躁病(II型) |
|---|---|---|
| 最低限の期間 | 7日以上(入院が必要だった場合は期間を問わない) | 連続して4日以上 |
| 日常生活の機能 | 仕事や人間関係に著しい支障がある | 周りの人が気づくほど変化するが、著しい支障はない |
| 入院 | 必要になることがある | 必要ない(入院した場合は躁病とみなす) |
| 精神病症状(妄想・幻覚など) | 現れることがある | ない(ある場合は躁病とみなす) |
I型とII型の診断はこう分かれます
双極I型障害は、これまでの人生で躁病エピソードが一度でもあった場合です。抑うつエピソードを伴うことが多いものの必須ではなく、躁病エピソードが一度あるだけでもI型と診断できます。双極II型障害は、軽躁病エピソードが1回以上、かつ抑うつエピソードが1回以上あり、躁病エピソードは一度もなかった場合です。軽い高揚と落ち込みが2年以上にわたって上下しながら、どちらの基準にも達しない場合は、気分循環性障害とみなします。
II型は「軽いI型」ではありません。II型では落ち込む期間がより頻繁で長く、高揚した時期よりも落ち込んだ時期で過ごす時間のほうがずっと長いことが多くあります。自殺のリスクもI型と同じくらい高いと報告されており、II型だからといって軽く考えてはいけません。
II型がうつ病と間違われやすい理由
多くの人は気分が落ち込んだときに受診するため、診察室ではうつ病だけが見えやすくなります。軽躁病の時期はむしろ「調子がよかったとき」「物事がうまくいっていたとき」として記憶され、本人から話すことはあまりありません。そのため、双極性障害は最初の症状から正確な診断までに何年もかかることが珍しくありません。うつ病とだけ考えて抗うつ薬のみを服用すると、一部の人では高揚が引き起こされることがあるため、正確に診断することが治療において重要です。
セルフチェックでわかること、わからないこと
Soundary の高揚気分チェック(14問)は、今の気分ではなく、これまでの人生で、ふだんの自分とははっきり違う高揚した時期があったかどうかを振り返ります。点数が高ければ、専門家に一度相談してみる価値があるというサインです。ただし、セルフチェックではI型かII型かを見分けることはできません。その判断には、高揚した時期が何日続いたか、日常生活がどれほど揺らいだか、入院や精神病症状があったかといった経過を、専門家が直接確かめる必要があります。
受診前に整理しておくとよいこと
- 高揚した時期がいつ始まり、何日続いたか
- その頃の睡眠時間は何時間で、それでも疲れを感じなかったか
- 家族や友人が気づいた変化(話し方、お金の使い方、約束、計画)
- その時期にした大きな決断や、後で痛手になったこと
- 落ち込んだ時期の長さと回数
- 家族のなかで双極性障害やうつ病と診断された人
- これまでに飲んだ薬と、その後の変化(特に抗うつ薬のあとの高揚)
治療はどのように行われるか
I型でもII型でも、治療の中心は、気分安定薬や一部の非定型抗精神病薬による薬物療法と、再発を防ぐための生活管理です。寝る時間と起きる時間を一定に保つこと、深酒や徹夜を避けること、高揚や落ち込みの初期サインをあらかじめ知っておくことが大きな助けになります。病気についての心理教育、認知行動療法、家族への心理教育にも、再発を減らすという根拠があります。どの薬が合うかはエピソードの種類や経過によって異なるため、精神科医と相談して決めます。
よくある質問
躁うつ病と双極性障害は同じものですか?
はい。躁うつ病は以前の呼び名で、現在の正式な診断名は双極性障害です。高揚と落ち込みという両極のあいだを行き来することから、双極性と呼ばれます。
II型はI型より軽いのですか?
いいえ。高揚した時期はI型ほど強くありませんが、落ち込む時期がより頻繁で長いため、全体としての負担は決して小さくありません。自殺のリスクもI型と同程度と報告されており、同じように治療が必要です。
セルフチェックでI型かII型かわかりますか?
いいえ。セルフチェックでわかるのは、高揚した時期があった可能性を示すところまでです。I型とII型を見分けるには、期間、日常生活への影響、入院や精神病症状の有無といった経過を、専門家が確認する必要があります。
軽躁病と単に気分がいいのとは、どう違いますか?
気分のいい日は状況に応じて来ては去りますが、軽躁病は数日以上続き、ふだんの自分とははっきり違っていて、周りの人が気づくほどです。睡眠が大きく減っても疲れを感じない、話すことや考えが速くなる、ふだんならしない衝動的な決断をする、といったことがよくあるサインです。
関連する検査
参考文献
- American Psychiatric Association. (2022). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed., text rev.; DSM-5-TR). American Psychiatric Publishing.
- Merikangas, K. R., Jin, R., He, J. P., et al. (2011). Prevalence and correlates of bipolar spectrum disorder in the World Mental Health Survey Initiative. Archives of General Psychiatry, 68(3), 241–251.
- Grande, I., Berk, M., Birmaher, B., & Vieta, E. (2016). Bipolar disorder. The Lancet, 387(10027), 1561–1572.
- Yatham, L. N., Kennedy, S. H., Parikh, S. V., et al. (2018). Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments (CANMAT) and International Society for Bipolar Disorders (ISBD) 2018 guidelines for the management of patients with bipolar disorder. Bipolar Disorders, 20(2), 97–170.
本記事は Soundary が公開された学術文献と診断基準に基づいて作成した一般的な情報であり、個人に対する医学的診断や治療の推奨ではありません。症状が気になる場合は精神科の専門医にご相談ください。
